雑巾がけをする暮らし

シンプルに暮らす…ミニマムな生き方へ

疑い

 

早朝のスタバで事務作業をしていると

イスラム系のお顔をした男性に声をかけられた。

 

 

「僕の携帯の充電ができないんだけど

あなたの充電ソケットを5分間だけ貸してくれませんか?」

 

 

ちょうどPCの脇で、お気に入りのFireタブレットを充電中だったので

彼はその先に繋がれていた私のソケットを見つけたのだろう。

 

 

「良いですよ。

コードに繋げてここへ置いて。」

 

 

と、私が言うと、

彼は手元で充電しながら携帯を見たい様子だった。

 

 

「僕の席は後ろのあそこだから。

変わりに僕のソケットを置いておくよ。」

 

 

(って、これが壊れているから充電できないんだよね?)

と思いながら

 

 

「OK~♪」

 

 

と返事をすると、

 

 

「5分、いや、10分、貸してね。」

 

 

と彼は私の物をもって席へ戻っていった。

 

 

 

さて…

 

充電ソケットは戻ってくるのだろうか?

私の心に疑いが芽生える。

 

 

ドイツに戻ってきて感じるのは、

難民風の人たちがこの地に根を下ろし始めていること。

明らかにお顔の違う外国人が増え、グループで行動しているのが目立つ。

 

街で耳にするのも、ドイツ語以外の言語が多い。

 

中央駅の周辺は何やら、雰囲気が違ってきたようにも感じる。

 

先日はおまわりさんたちが爆発物を使って、

テロを想定した大掛かりな演習を行った、と聞いた。

 

スリも増えていると言う。

 

 

そんな情報話と以前とは違う街の様子がぐるぐると頭を回って、

私は彼を疑い始めていた。

 

 

私の大切な携帯充電ソケットだから、無くなったら困るよなぁ~。

取られちゃったら、泣き寝入りだぁ~。

だけどもう貸してしまったのだから、取られても仕方ないよねぇ~。

 

 

通りを前にして、窓際に座っていた私は

彼の動向がとても気になるのだけれど、

恥ずかしくて後ろを振り向くことができない。

 

 

疑うなんて、彼に失礼だ!

 

と言えばとても淑女的に聞こえるけれど、

善人に見られたい、と思う自分もいる。

 

 

それでも、至って冷静さに努めながら、

ドアが開く音を聞けば、出て行く人が何気に気になっていると

彼が再び、煙草をもって私の肩を叩いた。

 

 

「煙草は吸うかい?」

 

「いいえ」

 

「僕は外で煙草を吸うけど、良いかな?」

 

「ええ、どうぞ」

 

 

何だか、私の心が見透かされている感じがした。

 

 

で、

 

結局、10分は30分になったのだけれど、

私の充電ソケットは無事に戻ってきた。

 

 

 

そうだよね~。

 

私のところに来る人は、私にとっていつも最高の学びをもってやってくる。

 

 

私にとってその充電ソケットが必要なものならば

それは私の手元に留まるだろうし、

不要なものならば、離れていくだろう。

 

 

そして、離れていった時には、それに変わる新しい何かがやってくるんだ。

 

 

それは疑うことのできない真実!

 

 

だけど

 

 

疑いは持ちたくない、と思う私と

相手を信頼したい、と思う私と

私を悲しませないで、と思う私が、そこにいたんだねぇ…。

 

 

 

彼から笑顔でお礼を言われて、私の疑いは完全に消え去った。

 

 

それは、

 

 

遠くから聞こえてくる噂話を信じるのではなく

どこかでみた悲惨な映像を自分のものとするのではなく

私の目の前の真実にただ向き合えば良いこと

 

を私に教えてくれた。

 

 

どんな時でもそこに愛を残して生きたい。